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東京高等裁判所 昭和46年(ラ)63号 決定

理由

抗告人平沢薫は本件不動産競売事件において競売法第二七条第三項各号の利害関係人ではないから、本件競落の許否につき異議を主張しうべきものではなく、本件抗告は不適法として却下を免れない。

抗告人桑原好子の抗告理由は別紙のとおりである。

しかし、(一)本件債権者東京信用保証協会は債務者兼所有者有限会社桑原商店(以下桑原商店という)の委託を受け、同会社の株式会社東京都民銀行(以下都民銀行という)に対する債務につき保証していたところ、昭和四五年七月三日債務者に代位して、その債務貸金残元本五九〇万円を弁済したことにより、債務者に対して求償権を取得するとともに、その求償権の範囲内で当然債権者たりし都民銀行に代位するのであり、その結果都民銀行の有した本件抵当権は当然本件債権者に移転し、債権者はその求償権を確保するためこの抵当権を実行しうることは明らかである。従つて本件競売は債権なくして行なわれるものと同じであるとする所論は理由がない。また(二)抗告人桑原は債務者たる桑原商店の連帯保証人であるから、これに対する競売期日の通知を缺く本件競売は違法であるというが、保証債務は主たる債務に附従するものであり、主たる債務者に対する履行の請求が保証人に対してもその効力を及ぼすとひとしく、抵当権実行における競売手続に参加させるためにする各期日の通知も主たる債務者に対してすれば、当然その通知の効力は保証人にも及ぶものと解すべきである。従つて保証人たる抗告人桑原に対する期日の通知がないことを理由として右競落を違法とすることはできない。その他記録を精査しても原決定にはこれを取り消すべきかしを発見することはできないから、本件抗告人桑原の抗告は理由のないものとして棄却すべきである。

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